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コーヒーと水

とある雑誌でミネラルウォーターが特集されているのを見て、ふと考えた。

「コーヒーに軟水が適しているっていうのは本当なのかな?」

数年に渡ってコーヒーの抽出にかかわってきて、初めて考えたことだった。

以前に一度、ペットボトルのミネラルウォーターで水出しコーヒーをいれたことはある。
その時は「なんだ大して変わんねぇや」という感想だったが。
はて? あの時の水は、軟水だったのか、硬水だったのか……。


まあ、実際に確かめてみればいいか。





日本の水道水のほとんどは軟水らしい。
私自身が誤った情報を発信していた


まずレポートをまとめるにあたって、閲覧者の方々にお詫びしなければいけないことがあります。

私のサイトの「コーヒー」内「水」のページにある、

>硬水か軟水かは、特に気にする必要はありません。
>一部では軟水のほうが不純物が少なく好ましいと言われているようですが、
>煮沸してしまえば両者とも大差はなくなります。

という文章を訂正しなければいけなくなりました。


正しくは、

>硬度が高いほど苦味が増す傾向にあります。
>煮沸の有無は関係が無いようです。

になります。

試す前は煮沸の過程でミネラルの結晶が生じ、味に影響は出ないと踏んでいたのですが、実際にやってみるとそんなことはなかったです。





というわけで買ってきた。
使ってみた水


近所の店に売っていたミネラルウォーターの内、硬度の一番低いものと一番高いものをそれぞれ買ってきた。もちろん3種類以上の水を使って試すことができればより良かったのだけど、器具や時間の都合上無理があるので残念ながら断念した。




コカ・コーラ い・ろ・は・す


片方はコカ・コーラの「い・ろ・は・す」。
阿部寛さんがCMに出演していましたね。




「い・ろ・は・す」は軟水。


硬度は39.6とあります。60以下なので軟水ですね。




ネスレグループ Contrex


もう片方はネスレグループ(販売はサントリーフーズ)の“Contrex”.
故郷はフランスだそうです。




“Contrex”は非常な硬水


硬度は約1468とあります。120以上が硬水、180以上が「非常な硬水」なので……非常な硬水ですね。
人によってはお腹を下すこともあるようです。パッケージにも注意書きがあります。





まずはそのまま。
とりあえず飲んでみた。


コーヒーを抽出する前に、まずは水そのものの味を確かめてみた。




良くも悪くも普通。


まずは「い・ろ・は・す」。
香りは無臭。色は透明。
味は、湧水をそのまま汲み出した感じ。
私が住んでいる場所の近くには飲用可能な湧水があってよく飲んでいたので、その味に近いと感じた。




これも水……なのか?


次に“Contrex”.
こちらも香りは無臭。
色は透明だが、よく目を凝らして見ると白い粒子が浮遊している。
……これ飲んでも大丈夫なん? サントリーのサイトには、「水に溶けていたカルシウムやマグネシウムの結晶」という記載がある。
味は、微妙に金属っぽい。
強烈ではないけれど、違和感がある。


水の状態で既に違いが見られるが、それぞれの水でコーヒーを抽出してみた。





鍋に入れる。
カップテスト(カップテイスティング)


まずは水を沸騰させた。
ミルクパン(小さめの片手鍋)があったので、ミネラルの結晶が見たいとの理由からこれを使った。




点火!


余談。今では面倒臭がって電子レンジで温めることがほとんどだけど、鍋で温めた牛乳の方が私は好きだ。




い・ろ・は・す


「い・ろ・は・す」はカルシウムやマグネシウムの含有量が少ないため、もちろん沸騰しても結晶のようなものは肉眼で見られなかった。




Contrex


では、“Contrex”では見られるのか……と思っていたが、こちらでも結晶は確認できず。何のためのミルクパンだったのか。




同じ形状のカップを用意。


まあ気を取り直してカップテストの準備を進める。




粗挽き


今回のカップテストのやり方は、「珈琲 パーフェクト・ブック(日本文芸社)」を参考にさせていただきました。
粗挽きにしたコーヒー粉を約10g使います。




もう少し広い口のカップが良かったかな。


カップに粉を入れ……




だばだばー。


カップいっぱいに熱湯を注ぎます。




なみなみ。


このまま5分ほど待ちます。この時間を使って、もう片方の水を沸騰させました。




準備完了!


準備完了です。




まぜまぜー。


スプーンで粉と湯を混ぜます。
やけどしないように注意です。


香りは……どちらも差が無いように感じましたね。




スプーンですくう。


スプーンで上澄みだけをすくい、口に含みます。


味への差は……ありました。
「い・ろ・は・す」よりも“Contrex”の方が苦味が強く感じました。
私は「い・ろ・は・す」でいれたコーヒーの方が好きですね。





こちらも同じ容器を使っています。
水出しコーヒー


カップテストだけで判断するのもどうかと思いましたので、水出しコーヒーでも比較してみました。




以前に紹介したやり方です。


粗挽きのコーヒー粉を50g用意し、お茶パックに入れて容器に入れます。
詳しいやり方はこちらで紹介してます。




い・ろ・は・す


片方の容器には「い・ろ・は・す」を入れ、




Contrex


もう片方の容器には“Contrex”を入れました。




浸ってます。


粉を入れたパックが水に浸っていることを確認して、




左Contrex 右い・ろ・は・す


ごちゃごちゃにならないようにラベルを貼りました。




冷蔵庫で10時間。


あとは冷蔵庫で保存します。
私は水出し(浸漬法)だと10時間のものが好みなので、10時間かけました。




10時間後。


こんなんなりました。




さあレッツ試飲。


グラスに移しました。

こちらも香りははっきりとした差が見られませんでしたが、味はどうでしょうか。




あっさりとした味。


まずは「い・ろ・は・す」。
あっさりとした味です。飲みやすく仕上がりました。




苦い。


次に“Contrex”.
に、苦い……。コーヒーの持つ苦味とは違うような感じの苦味を感じました。


水出しでも味に差が出ましたね。



私は軟水が好き

今回は2種類の水しか使わなかったので断言はできませんが、硬水を使ってコーヒーをいれると苦味が増す傾向があるようです。これに関しては今回の実験からだけではなく、「珈琲ブック 田崎真也のテイスティング(新星出版社)」の「水を考える」のページでも見ることができます。
この苦味を好むか好まないかは飲む人の嗜好によるので一概に「軟水が適している」とは言えませんが、私は軟水でいれたコーヒーの方が好きですね。