第7回 ACKId 2012

4月22日(日)小宮伸二(美術)+吉本裕美子(音楽)
キッド・アイラック・アート・ホール


You Tube


今回の公演のため函館から上京して展示をしてくださった小宮伸二さんとは事前に面識がなく、作品も拝見したことがありませんでした。You Tubeで作品の映像を拝見し、その繊細な美しさに魅了され、ご一緒できることをとても楽しみしていました。

ホール内の数箇所に水が滴り落ちる装置を置いてその音をギターアンプで増幅させるとのことなので、インスタレーションに取り囲まれるように音にも取り囲ま れる感じにしたくて、ギターの音はPAからのみ出すことにしました。ギター以外におもちゃの鉄琴などを客席の中に入っていって演奏したのは、ホール内のい ろいろなところで水滴の音が鳴り響いているのを意識してのことです。

あちらこちらに水が滴り落ちているイメージから、会場が水浸しになっているような情景が浮かんできて、雨の日に屋外でフィールド・レコーディングした音を 使用することを考えつきました。フィールド・レコーディングのサウンドは、外界から取り込まれた音である一方、内部の水滴装置のインスタレーションに呼応 する音でもあります。また、会場の外にマイクを立てて、公演時のリアルタイムの外の音も取り込んでミックスしました。

ギターの演奏は、水滴の音やフィールド・レコーディングの音との即時のセッションであり、またインスタレーションに対する意識的・無意識的なメンタリティ の反映でもあります。さらに、振動スピーカーの使用など、公演に向けて小宮さんとメール交換してきた過程で生まれたり消えたりしたアイディアが形を変えて 含まれてもいます。

以下のわたしのサイトにも今回の公演に際しての文章があります。(吉本裕美子)    ◎ご来場いただいた北里義之さん(音楽批評家)のブログです。






撮影:盛長幸夫
天井から5つの古い点滴用シリンダーが吊り下げられ、それぞれから水滴が下垂り落ちている。
その下には水を張ったガラスの器が置かれ、微かな飛沫を伴って雫を受け止める。
暗い空間にそこだけがほんのり明るく浮かび上がる中、器の下に設置されたマイクにより水滴の音が拾われ、増幅され、それぞれの位置から会場内に響き渡る。
そしてステージ側に張られたスクリーンには、6つ目のシリンダーとそこから落ちる水滴の影が映し出されている。
演奏が始まると、スクリーンには大きく広がる水の波紋の影が投影され、音に呼応しながらゆっくりと変化しはじめる。

吉本裕美子との共同制作は、公演前日に初めて顔を合わせた時点で既に半分は終わっていた。準備にかけた時間もさることながら、2人でやることの意義と手探 りでの新たな表現/発見を求めて、お互いに交わした言葉のやりとりはかなり濃密であったと思う。しかしそれですべてが完成する訳ではない。やはり残りの半 分は、お互いが当日の即興性の中で見い出さなければならない。それは演奏者だけではなく、今回の場合はインスタレーションに於いても(ある意味)同質で あった。その意味ではたぶん2人とも、出来上がった作品に対しては評価出来る立場にない。僕は彼女に対する感謝と、共に空間創出に関われた漠然とした満足 感があるだけである。

美術家(の作品)と身体表現者が、現場で遭遇することに於ける融合もひとつの表現ではある。しかし、今回の公演は〈言葉〉と〈時間〉が介在した、用意周到な即興空間とでもいうべきものなのだろう。その〈意味〉は未だ僕には判明出来ないでいる。(小宮伸二)










公演終了後のパーティー