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第4回 ACKid2009
     

     

     

        
25日(土)建畠朔弥(美術)+紙田昇(身体)+平田明子(身体)
     撮影:川上直行
      
           

 

 

     
      
  
 
       
   
               

ACKidは異なるジャンルのアーティストが協働して舞台をつくり上げていく表現の試みです。

建畠朔弥(美術)+紙田昇(身体)+平田明子(身体)
2009年4月25日/キッド・アイラック・アート・ホール
報告:宮田徹也(日本近代美術思想史研究)
    
建畠の《ゲート3(ADAMV・EVEV)》(木、合成樹脂、グラスマット、発泡スチロール、着色2009年、H:202×W:120×D:86.5cm)が舞台中央に置かれている。向かって左の壁面には、異なる作品のB4サイズのカラーコピーが貼られている。
《ゲート3》は二人の人物が簡略化されている。左の人物は右の人物を、右の人物は正面を見詰め、その左手は前に迫り出している。三本の足で立脚し、台座に乗っている。
暗転が溶けると、紙田と平田は彫塑の後方に位置している。顔にマスクをつけていることが分かる。黒いスーツの紙田は背中を向け、足を壁に着けて座っている。頭を台座に付けては外す。仰向けのまま、彫塑の前を進む。平田は右を向き、上体を寝かせている。彫塑の隙間から紙田はその様子を見ている。
ハープシコード、弦楽器、パーカッションの録音曲が妖しい雰囲気を醸し出す。紙田はうつ伏せになり、身を捩るように進む。平田は上体を起こし、彫塑の足に隠れる。右手を彫塑の脇から出し、徐々に立ち上がっていく。紙田は転がり続け、右壁面に到達する。平田は腕を引込め、今度は右足を彫塑の脇から見せる。次に頭部、続いて顔、平田もマスクで顔を覆っている。
紙田は再び彫塑の前に到達する、四足になり、自己の右手と彫塑を交互に見詰めている。平田は左足、顔を背後から出す。歌を口ずさみ左から出てきて彫塑と並ぶ。紙田は彫塑の右側で足を大きく広げ、膝を折り左右に揺らぐ。紙田が大きく仰向けになると、平田は紙田と彫塑を交互に覘き見る。平田は立位置で旋回、紙田は床を彷徨い彫塑の後方へ。平田は彫塑の前で横に大きく足を投げ、上体を倒し、膝を曲げたままうつ伏せになる。
曲が止まると二人は沈黙する。彫塑を含めれば三者である。マスクを取った紙田が左の作品へ向かう。見詰めては近づき、後退する。平田は動かない。紙田は右手を大きく回し左足をスライドさせ、旋回を始める。その動きが大きく激しくなっても、壁面の作品を意識している。上部を見て停止する。右手を後方に、左手を掲げながら爪先立ちで歩く。踵を着け左手が下がると右手を挙げる。平田は姿勢をそのままに両手を差し伸べ、何かを受け取るような体勢となる。紙田はその右手を彫塑の右の人物に乗せ、沈黙する。
マスクを取った平田は紙田に手を差し伸べるが呼応はなく、そのまま彫塑の後ろに座る。紙田は右手を自己の頭の上に構え、その手を彫塑の手に乗せる。一度離れ、再び彫塑に近づき、その両手を掴んで振る。平田が後方から右手を出す。
テンポのよい曲が流れる。平田は右壁に寄り掛かり、紙田は手を叩きながら彫塑の背後に向かう。平田は屈み、彫塑の足の間から出した紙田の左足の裏を左掌で叩き、左足裏と右膝を床に着けたまま手を叩き、立ち上がって両掌で顔を覆い隠しながら体を横に捻っていく。紙田の右足が彫塑の左から現れては消える。平田は彫塑の手を掴み、離し、床に転がり、立ち上がっては転がり続ける。紙田は背後でマスクを広げる。平田は恐れ戦くような表情を浮かべ、足を挙げては体を傾ける。
ライトな曲が流れる。紙田は紙を千切って紙吹雪を作成し、二つある彫塑の頭の間からそれを撒き散らす。両手を左右から出し、帽子を被る。平田は右手を彫塑の手の上に置き、下から見上げる。紙田は吹く息を歌にしながら前に出てくる。平田は何かを掴む。その何かを紙田に見せようとするが、紙田は旋回を繰り返している。平田は彫塑の右に立ち、足を揺らめかせる。
紙田は床に転がり平田に近づく。しかし二人は触れることがない。紙田は彫塑の前で仰向けとなり、伸ばした右手足を翻す。平田は掌を紙田に向ける。紙田はそれに気がついて立ち上がり、それぞれ彫塑の左右に立ち尽くし、体を巡らせる。二人は並んで腰を下ろしては立ち上がる。紙田は横のステップを、平田は床に線を描くようなステップを繰り返す。
平田は紙田の帽子を取上げ、自らが被る。平田が帽子を脱ぎ、紙田の顔に被せると、65分の公演は終了する。
 アフタートークで建畠は以下のように語る。「絵画作品は今回の為に描いた。彫刻とは無愛想で無関心だ。二人が踊れば踊るほど、彫刻は益々離れていって不動になる」。
紙田の帽子と平田のポニーテールは彫塑と対応している。マスクは顔のない彫塑のそれと同様だ。紙田と平田は動くことのない彫塑から飛び出して踊る分身のようだった。それは彫塑から受けた感情も入り込んでいるのだろう。二者は交わることなく、恋人でも夫婦でも他人でもない、二人の人物をダンスによって演じ尽くした。物語性が全くないクールな展開は、正に建畠の作品を描き尽している。公演の時間が無制限であったとすれば、二人は何時までも踊り続けたであろう。この無窮運動は、彫刻が持つ時間帯に等しい。頑丈な素材で作られても彫刻は、何時か朽ち果てる。人の営みもまた、それに等しいのではないだろうか。

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