あぶくま青年会議所について

理事長写真

一般社団法人あぶくま青年会議所
2018年度 理事長

佐藤 洋輔

理事長所信

はじめに

 一般社団法人あぶくま青年会議所の活動エリアは、北より名取市、岩沼市、亘理町、山元町にあり、遥かに太平洋を望む肥沃な仙台平野の南端に位置します。かつて江戸で消費される米の大部分が仙台の米であったように、その生産地や集積地として育まれた文化は、現代に至るまで多くの分野に地域の特性として今なお息づいています。司馬遼太郎は著作の中で、仙台空港に降り立ち、貞山堀を散策した際、地域の人びとがこの運河を観光地化するでもなく黙って保存に努めるありようを、「武骨で教養のある風儀」と評し讃えています。そのような誇るべき文化を後世に伝える人間性によって形作られてきた私たちのふるさとは、2011年に発災した東日本大震災によって大きな被害を受けました。この未曽有の災害からまもなく7年を迎えようとする今、地域住民は失われたふるさとを取り戻すべく立ち上がり、復興の歩みを進めています。 日本における青年会議所の運動は、個人の修練、社会への奉仕、世界との友情を3信条として1951年に産声をあげ、地域住民の意識変革に基づく明るい豊かな地域社会の創造を目指し現在に至るまで継続されています。私たちあぶくま青年会議所も1977年全国で615番目に創立されて以来、絶えることなくこの意識変革運動に取り組み続けてきましたが、本年度も中期運動指針に基づき、地域を牽引するリーダーとして会員の資質向上に努め、地域に根差し発信してきたひとづくり、まちづくりを住民との協働のもとさらに力強く展開し、未来へとつながる豊かな人間味と文化に溢れた地域コミュニティーを創造しなければなりません。そのことがこの現代をJAYCEEとして生きる私たちに課せられた大きな担いであり、私たち自身の成長により育まれる情熱と志を胸にふるさとの未来を見据え、地域住民の意識を変革する運動を今後も展開し、明るい豊かな地域社会を実現してまいります。

【地域の未来を担うひとづくり】

 現在、私たちの活動エリアである名取市、岩沼市、亘理町、山元町の人口構成の割合とその推移は統計データによると、各自治体によって差異があるものの、総人口の減少に対して年少人口の低下が著しいという特徴が挙げられます。4市町の平均として総人口に対する年少人口の割合は、1980年においては24%であったものが、2015年には14.20%となり、推計値として2030年には11.60%まで低下するというデータが示されています。さらに、社会減による人口流出は生産年齢人口の減少を招き、出生率の低下などの理由があるにせよ、絶対数が低下している子どもたちが、生まれ育ったふるさとへの愛着の未成熟などによって、成人するに至る前後の時期にその土地を離れるという選択が為されている状況が考察されます。 地域コミュニティーが将来にわたって持続発展し続けるためには、そこに住まう地域住民が能動的にまちづくりに参画する意識を育まなければなりません。なかでも次世代を担う子どもたちが自身の学びによってまちづくりのシステムやプロセス、ふるさとの素晴らしい文化を知り、その体験によってこころに郷土愛を育むひとづくりを行う必要があります。今を生きる子どもたちはふるさとを愛する心の醸成によって地域コミュニティーが自身の原点であることを知ります。将来を見据えたまちづくりには、人びとの地域を愛するこころの醸成が大切であり、その想いが世代を超えて積み重ねられることで様々な郷土風習や文化が生み出され、人間味に溢れた地域コミュニティーが構築されていきます。子どもたちは体験や学びによってまちづくりのシステムや文化を知り、自身が住まうふるさとへの愛着と誇りを育み、自身がかつてまちづくりのプロセスに関わったという経験によって自身が地域の未来を担う人財であるという意識を醸成することができます。 本年、私たちは「まちづくりのためのひとづくり」運動を力強く発信することで、古来この地域が伝承してきた人の手による人間味に溢れた地域コミュニティーが次代に継承され、その担い手である子どもたちはふるさとへの愛着と誇りを胸に、自身が能動的にまちづくりに参画する住民のひとりであると認識し、地域の未来を担うひとづくりが実現されます。

【地域住民との協働によるまちづくり】

 東日本大震災の被害から復興の歩みを進めるふるさとが、かつて持ち合わせた人間味の溢れる地域コミュニティーを再構築し、新たな郷土風習や文化をつくり上げるためには、地域住民との協働による運動を展開し、地域全体でまちづくりに取り組むという意識を醸成していかなければなりません。本年、4年目を迎える亘理町荒浜海岸の海岸清掃は参加者も少しずつ増え、運動の輪は着実に広がりを見せてきました。本年もこの事業を引き続き実施することで、さらなる運動の浸透と広がりを実現していく必要があります。地域住民は継続したまちづくりに参画することで、刻々と変化していくふるさとの有様と復興の進展を確認し、まちづくりに取り組む活力が育まれます。地域住民がまちづくりの参画者として事業に取り組むことは、ふるさとがかつて生活に根差した様々な文化で溢れていたことを知る絶好の機会となります。地域コミュニティーがもつ豊かな郷土風習や文化が広く発信されることで、特色を持つ誇り高いたからとなり、多くの人びとが訪れる魅力あるふるさとの地域ブランディングが確立されます。 また、本年は山元町、亘理町、岩沼市における首長選挙が開催される予定です。しかし、現状を鑑みるに、いずれの自治体も地域住民の主権者意識の低下により投票率の伸び悩みを見せ、必ずしも地域住民が将来のまちづくりについて自身の意思を反映する機会を活用していない現状が見受けられます。選挙における投票行動は、地域住民がまちづくりに寄与する貴重な機会であるという意識を醸成し、能動的にまちづくりに参画する第一歩とするためにこの現状を是正しなければなりません。選挙という機会を通じて地域コミュニティーの将来をイメージする機会をつくり、地域住民に自身が主権者としてまちづくりに参画するという意識変革をもたらすことによってまちづくりへの無関心から脱却する土壌をつくり上げます。 あぶくま青年会議所は地域住民との協働のもとにまちづくりへの意識変革を行い、行動を起こす「能動的な市民」とともに力強く運動を発信し、その輪を大きく育て上げ、今この時から始まり将来へとつながる豊かな文化に彩られた地域コミュニティーを創造してまいります。

【会員の拡大と資質の向上】

 青年会議所は、現在に至るまでに実に多くの修練と学びを私に与え、多くの得難い仲間に出会う機会を提供してくれました。この経験は現在の私の人間形成に多大なる影響を与えていると実感します。この実経験からもより多くの青年経済人にあぶくま青年会議所に加わっていただき、多くの学びと志を共にする仲間を得ることにより、困難を乗り越える資質を育んでいただき、共に明るい豊かな地域社会の実現に力を尽くしてもらいたいと強く希望します。 私たちが活動する地域に目を転ずれば、入会要件を満たす対象者は35,000人を超え、そのすべてが志を共にする同志となる可能性を秘めています。それらの青年達が地域をより良くしたいという想いのもと私たちの仲間となり、共に運動に取り組むことによって、あぶくま青年会議所が効果的なまちづくり、ひとづくりを展開できることは言うまでもなく、明るい豊かな地域社会の創造という目的の達成により近づくことができます。市民の意識変革に取り組む想いと志の共有による会員の拡大こそが、地域に運動を発信し続ける責任ある団体としての礎となります。 また、青年会議所はよく「学び舎」と表現されますが、年次毎の役職の変更や出向、それに伴う多くの出会いによって、様々な学びを得る機会に満ち溢れています。あわせて、各種事業を立案、実施していくプロセスはそれ自体が人生における自身の教訓となって人間形成に大きな影響を与えます。運動体としてのあぶくま青年会議所が今後も地域に対して力強く運動を発信していくには、その構成要員である会員の拡大とあわせて、資質の向上は必須の課題であると言えます。すべての会員が学びの機会による成長を遂げ運動の発信者として活躍し、様々なステージで力を発揮するための資質を高めることで、青年経済人として組織や地域を牽引できる真のリーダーの育成が成されます。

【組織力を高める総務広報】

 青年会議所という組織が運動を発信し続け効果を高めるには、連綿と受け継がれてきた議論の過程とそこに宿る情熱と志を拠り所としなければなりません。総務広報があぶくま青年会議所においてその要となり情報と想いという財産を管理し、メンバーの意識の共有による広報発信を務めることによって、あぶくま青年会議所は「そこに存在するLOM」から「そこから運動を発信するLOM」に昇華します。  青年会議所が「会議所」たる所以は、地域に発信される運動、事業はもちろん、様々な活動の議案等を各種会議において上程し、徹底的に議論を行ったうえで議決するためです。議論の過程を記録し、資料として保存することは、LOMの意思決定におけるプロセスを確認する非常に重要な財産となります。私たちが運動を構築し展開するにはこの点を良く理解し、正確な記録の作成に努めなければなりません。また、これまで途切れることなく発信し続けた運動を私たちが引き続き構築するには、その記録の確認と同時に地域を変えるという情熱と志を育む必要があります。なぜなら私たちが発信する運動は地域住民の意識に訴えるものであって、そこに共感が育まれなければ効果を得ることは難しいからです。私たちは先輩諸兄が育んできた「地域を変える」という想いを理解し、会員相互の交流や意見交換などによる情報の共有をおこなうことで、運動効果を高めるエネルギーを育み、運動体としてふるさとの創造に取り組む基礎が築かれます。  総務広報のもう一つの大きな担いとして、私たちが事業を企画し、実施するに際して、スケジュール等の広報が必要なことは言うまでもありませんが、どのような意図があり、誰を対象に実施されるかを明確化し、事業効果を向上させるビジョンを伴った広報が必要となります。私たちが発信する各種媒体を活用した広報によって、地域住民にその受信者が自身であるということを知っていただき、事業の意図を深く理解することで自身の意識変革のもとまちづくりの参画者となり、運動の波及効果が高まります。 総務広報委員会の正確な議論の記録と情熱の共有、各委員会との連携による意図が明確化された情報のタイムリーな発信によって、地域社会にあぶくま青年会議所の運動が広く周知され、意識変革を起こすきっかけとし、明るい豊かな社会の創造に寄与してまいります。

【結びに】

 かつて私たちのふるさとは、時の明治政府より民間人として初めて叙勲された知られざる偉人を生み出しました。亘理伊達藩の最後の君主であり、北海道有珠郡の開拓の功により、勲四等瑞宝章男爵に叙せられた伊達邦成公です。公は戊辰戦争において、その卓越した才能により薩長軍との戦いの先軍を務め、あわせて仙台藩との講和の取りまとめに奔走しました。しかし、仙台藩降伏後の公の運命は過酷を極めます。23,853石に及んだ知行を58石にまで減らされたことにより、家臣団は言うまでもなく、亘理の領民を養うことすらできなくなりました。そのような状況に及んで、1870年より自らが先頭に立ち、北海道胆振国有珠郡(現在の伊達市)に入植し、その規模、生産能力ともに近隣の入植地の数十倍に及ぶ国づくりに成功します。公がつくり上げた国を、後代そこに住まう地域住民が現代にいたるまで発展させ続けた伊達市は、亘理町との交流を今に至るも持ち続け、東日本大震災の発災に際しては、物心兼ね備えた多くの援助を行っていただきました。  このエピソードはJAYCEEとして今を生きる私たちに多くの気づきを与えてくれます。困難な状況に及びながらも、その運命を受け入れ、卓説したリーダーシップにより新たな地域コミュニティーをつくり上げる。そしてそれは、覚悟を決め、同じ志を胸に秘めた多くの地域住民との協働によって持続発展するふるさとへと育て上げられていく。まさに私たちが為すべきことのモデルケースがここに如実に示されています。  今まさに復興の道のりにあるふるさとの現状を目の当たりにし思い出された言葉がありました。それは、「まちづくりの主役は市民である。故に、まちづくりの要諦はひとづくりである」というものです。私たちあぶくま青年会議所は本年、ふるさとが将来にわたって持続発展していくために、運動体として有効に力が発揮できるよう会員自身が地域を牽引するリーダーとしての素質を高め、将来を担うひとづくりと、地域住民との協働によるまちづくりを発信してまいります。 「受け入れる覚悟、やり抜く気概」「まちづくりの要諦はひとづくりである」 この理念のもと意識変革運動に取り組み、人の郷土愛によってこそ支えられる、世代を超え将来へとつながる豊かな人間味と文化に彩られた、誇るべきふるさとを創り上げてまいります。


1)我々一人ひとりは己を律することで自らを磨き地域のリーダーとして行動します

2)未来に繋がる思いと新たな価値の創造に挑戦する力を有する青年団体となります

(2014年策定 「あぶくまJC中期運動指針」より)

スローガン

覚悟と気概によるふるさとの創造

~まちづくりの要諦はひとづくりである!!~

【基本方針】

  • 地域社会の将来を担う人財の育成
  • 地域住民との協働によるまちづくり運動
  • 「地域を牽引するリーダー」としての会員の拡大と育成
  • 運動体としての効果を最大限に発揮するための総務広報