ペットボトルで作るクワガタ幼虫飼育容器

 クワガタの幼虫は、固い物をかじる習性がある。脱走を防ぐために、必ずガラスや硬質プラスティックの容器で飼うことを薦めている人が多い。
 しかし、経費削減のため、我が家に大量にあったペットボトルを飼育容器として使うことにした。
 確かに、凶暴といわれるクワガタの幼虫を入れた容器からは、ガリッガリッという音がよく聞こえる。実際ペットボトルが内側から傷つけられ、♀の幼虫でさえ、約2mm径の穴もあけた。しかし、まだ、それ以上の穴を開けられていないので、このままペットボトルで飼っていこうと思う。

1.容器の大きさを考える
○容器の大きさは、幼虫の大きさと成長に合わせたものにするのが最も良いという結論に達した。
理由その1

・クワガタ幼虫の成長には、タンパク質を作り出す共生菌が幼虫の周りや腸の中に繁殖していることが不可欠である。エサが豊富にあることも大切である。しかし、幼虫が移動できるスペースが大きすぎると、幼虫が共生菌のいない場所に移ってしまい成長が阻害される。

・ギラファノコギリ2齢幼虫を、1リットル味噌容器と2リットルペットボトルで飼育したときがあった。この時は実験のつもりではなく、容器がそれしかなかったのである。
 1ヶ月半後、成長具合を見たところ、何と、小さい方の容器に入っていた幼虫の方が大きかったのである。比較した写真を撮らなかったのが残念であるが、右の写真は、その1リットル容器から出てきた3齢幼虫である。1ヶ月半でこんなに大きくなる。少なくとも、後7〜9ヶ月は成長してくれる。
 こうなってから、2リットルなどの大きい容器に入れる方がよいと考えられる。
写真左の個体は、最も大きい雄だったので、1000cc容器に入れました。
写真右の個体は、次点の雄だったので、430cc容器に入れました。
20日後(写真を撮った日)見ると、左の個体は完全に雌でした。それはいいとして・・・・・
大きい個体を大きい容器育てれば、大きく育つと思いがちですよね。
ところが、430cc容器にいた個体の方が大きく育っているのです。
そんなの、左の個体が雌だったからでしょ。
と片付けられません。
写真は、両方ともメタリフェル♀。
左の個体は、上のものと同じ雄と間違えて1000cc容器で育てた者です。
右の個体は、平均サイズだったので200ccプリンカップで育てました。
やっぱり、成長度合いが逆転しているのです。
ギラファノコギリ、メタリフェルどちらも「幼虫の大きさにあった、適正サイズの容器で育てた方が大きく」なるという結果になりました。
理由は、「幼虫があまり動き回らずに済むことと、その周りに共生菌が繁殖することができるので栄養吸収をしっかりできる」ということではないかと考えています。

理由その2
・大きすぎる容器に、コバエが発生してしまうと手がつけられない状態になる。まさに、コバエ王国。勘弁してくれー!

理由その3
・クワ友arijigokuさんのHP、メタリma専科でも、同様の(理由1のような)報告がなされている。

2.ペットボトル容器の作り方
○ペットボトル縦型容器
・切り方をいろいろ試してみたが、2本のボトルから1本の飼育容器を作るのが、最も安定していた。 ・ペットボトルを横に切る。1本をふた用(写真中央)に切り、1本を本体用(写真右)に切る。3cmくらい重なりを作るとちょうどよい。
・ちょっとコツがいるが、慣れれば切るのは簡単である。
・一概にペットボトルといっても固い物と柔らかい物がある。なるべく固い物を使うとよいと思う。


・空気穴は、画鋲などで穴を開ければどこでもO.K.である。その穴からマットがこぼれてしまうことは全くなかった。マットを詰めてから穴を開けた方が楽だった。
・しかし、空気穴を囲むようにカビが生えたり、ウジが死んでいたりすることがある。
 カビは、菌糸のコロニーだと思えるものはいいのだが、わからないものもある。
 ウジの死骸については、やはりよろしくない。
 上のことから、マットに直接触れるように穴を開けるのは、疑問が持たれたので、ふた部分と底面だけに穴を開けるようにしている。空気の入れ換えはできているようだ。
・底面に穴を開けるのは、二酸化炭素が抜けやすくするためである。
・注ぎ口のふたをせずに、三角コーナー水切りネットを輪ゴムで止める方法もある。こちらの方がペットボトルに穴を開ける手間が減り、加水が楽であった。

・飼育中の加水は、注ぎ口から行う。一度の大量の水を入れると、つなぎ目から泥水(本当は発酵マット水?)がポタポタ出てきて汚れてしまう。

・これは、横にしておいても使える。次の場合に横置きにして使っている。
 底面積を広くとりたい場合。
 2匹以上を同居させて飼う時に(それ自体、一般的にはよくないと言われているが)、暖房設備からの距離を均一にし、全体を同程度に暖めるたい場合。
・横置きにした容器に、加水する時には、縦にしてからだと水がたれずに済むが、中に前蛹や蛹がいるかも知れない場合それができない。空気穴の開け方を工夫してみたい。

○ペットボトル横型容器
・この方法を参考にして怪我をされても困ると思い、公開するつもりはなかったのだが、ペレメタ♂蛹を殺してしまった罪を忘れないために記録することにした。
・3本のボトルから、2本の飼育容器が作れる。
・横置きにしか使えない。

・この方法は、ペットボトルを切るときに、危険が伴う。
慣れてきてスパスパ切れるようになると、自分で定めたはずの基本を忘れ指を切ることになる。
写真にもあるように、現に私も左手人差し指から血を流した。



・自分で決めた基本とは、以下の3つである。
@子どもを近寄らせない。
A左手でペットボトルの注ぎ口の部分をもつ
B右手小指の付け根をペットボトル本体と離さない。



○空気穴の工夫
その1

・積み重ねて置くことを考えて、フタ部分には空気穴を開けない。
よく見えないが写真の赤い丸のところに空気穴を開けた。

底になる部分(ペットボトルとしては側面)の凹んだ部分にも、
二酸化炭素抜き用に一つ開けておいた。

底面にも穴を開けることができるのが、ペットボトルの大きな利点である。
底部の穴を、20個くらいあけたところ、縦型容器の蓋を開けておくのと変わらないほどの換気性能を示した。
この穴から、水やマットが漏れる心配は皆無だ。

・結構固いペットボトルに穴を開けるのは、針では無理。画鋲を使っても5本も開ければ針が曲がってしまう。千枚通しでは、穴が大きすぎる。
・結局、キリを使うことになった。力の加減を間違えて穴が大きくなってしまったら、内側から修正できる。
その2(失敗編)

・空気穴を黄緑の四角部分に作った。
・水切りネットで覆い、セロテープで固定。
・ふたにも切り込みを入れて完成。
・二酸化炭素抜きようの穴は、底面に。
 これだけは、キリで開けた。
・ふたは、輪ゴムで固定。
空気穴Version2を突き破って逃げ出したパラワンオオヒラタ♂の幼虫

・空気穴の工夫(その2)には、重大な欠陥があった。
 成虫は、すぐに空気穴のカバーをずたずたにしてしまう。もっと悪いときには逃げだそうとして、頭をつっこんだままもがいていたときまであった。そんなことがあって、空気穴Version2は幼虫飼育にのみ使用していた。が、何と、その幼虫まで空気穴から脱走してしまったのだ。さすが世界最凶の虫だけはある。
 逃げ出して何日目なのかわからないがこの個体はもう大きくなれないかもしれない。

せっかく作った空気穴Version2のペットボトルは、限られたことにしか使うことができなくなってしまった。
・上の写真の逃亡幼虫を別の容器に入れ、4ヶ月放っておいた。マットが劣化し泥状態になっていたからか、逃亡したときのショックが原因か、17gと小さい。

・下の容器とペットボトルの蓋は当然計量されていない。幼虫にくっついている泥と一緒に測って17g。

・写真をトリミングしていて気づいたのだが、なんか卵巣っぽい物が見える。♀かな。ならば17gでも普通だ。

・この人(結局男)は、1月7日のマット交換後、成長を始めた。今考えるとマットが劣化していたのだろう。申し訳ないことをした。
・縦型容器と違って、固く詰めようとしてもなぜか力が入らない。
多分注ぎ口の方にマットを詰めたくないという気持ちがはたらいているのだと思う。
・右の写真のように、幼虫が注ぎ口にマットを押し詰めていると、注ぎ口から加水できないので、今のところふたを開けて加水している。

 温室を使い始めて2ヶ月。何故注ぎ口のところに幼虫たちが集まるのかを考えた。
セットの仕方に重大なミスがあったことに気づいた。詳しくは温室のページへ

3.長所
○上記したように、どこにでも穴をあけることができるので、空気の入れ換えがスムーズにできること。酸欠になりやすい菌床飼育にとても有効なのではないかと思う。
 それから、幼虫飼育のページにも書いたが、酸素が濃かった時代に昆虫類は大型化している。このことから、通気性や換気はとても大切だという予測ができる。つまり、空気穴を好きなだけあけられ、空気の入れ換えがうまくできることがペットボトル飼育の長所である。(底面や側面からの水漏れは心配ない)
○横置きで使えば、大きい個体が、十分な大きさの蛹室を作ることができる。
○ある程度凸凹しているため、容器の底に蛹室を作ってしまっても、凹部分にマットや幼虫の糞が入り込み、羽化不全の確率が減る。

4.心配な点
○まず心配なのが、ペットボトルに入っていたお茶の成分である。よーくゆすいでから、容器を作り、数週間陽の当たるところに置いておいてもお茶の香りは残っている。それが幼虫に影響しないか心配である。蛹化不全体が出たりすると、その影響?なんて考えてしまう。でも、コーヒーのビンでも大丈夫という話だから、取り越し苦労なのかも知れない。
○次に心配なのが、乾燥である。これは、通気性をよくできることと裏腹な面もある。横型に置かれた容器だと、地面の面積が広いので、それだけ水分が蒸発しやすい。加水してあげればよいのだが、ちょっと面倒。
 加水の量は、飼育容器をセットし終えた時の重さを量っておいて、それに戻すように加水するのだが、それは、かなりの量の水を足すことになるので、いつも90%程の重さまで回復させるに留まっている。

5.欠点
○縦型容器は、接合部を全てセロハンテープで覆ってしまうことで、コバエ発生をほぼ防ぐことができる。しかし、横型容器は、蓋と本体の接合部が大きすぎてコバエを防ぐのが困難だということ。この場合有効となるのが、次世代コバエシャッターとして有名な(そんなはずねーだろ)、洗濯ネットである。コバエ対策のページにも書いたが、今のところかなり有効であるが、洗濯ネットから容器を出し入れするのは一々面倒。

○最大の欠点は、細長いというペットボトルの形状は、幼虫が一定の場所に留まってエサを食べ続ける(居食い)に向いていないことだ。居食いをする幼虫は共生菌の取り込みがスムーズにできることから大きくなりやすいらしいが、これは、ペットボトルだと大きくなりづらいということにつながる。そうならないための工夫が必要なようだ。(菌床飼育専用にするとか、栄養を一カ所にまとめるとか)

○写真だとわかりづらいが、ペットボトルの底上げ部分に、幼虫の尻がぶつかっている。後々影響が出ないか心配である。
 写真はうまく撮れないのだが、注ぎ口の部分にケツを突っ込んでいる♀もいる。両者ともパラワンオオヒラタであるが、蛹化羽化がうまくいくか心配である。

・この個体は、数日後ペットボトル底部から移動して見えなくなっていた。

・結局、90mmという成虫になった。

6.ここまでの成果

・左の写真は、横型容器で育てたギラファノコギリ♂の蛹。今季の♂蛹としては、第1号である。
黄緑の線は、蛹室の大きさ(外見上の予想
ピンク色の線は、蛹の大きさ
 ペットボトルが縦置きならばどうやっても入らない大きさの蛹室を作った。
上の蛹が羽化した直後を掘り出してしまった。
待てなくなってしまったわけです。
大きい個体ほど羽化不全が多いので、心配していましたが、
フローレスギラファとしては大きいとは言えない94mmの雄になった。

♀と間違えられて(はっきり卵巣を確認できたと思えたのだが、それは未消化物だったらしい、)、2匹一緒に育てたものとしては、よくここまで育ったと、褒めてあげましょう。というより、♀と間違えたのに、2匹分の容積で飼ったから普通サイズまで行ったと思うべきだろう。
・2齢の頃から♂として大きな容器(2リットルペットボトル単独飼育)で育てられ、12月に縦型容器から横型容器に移し替えた個体。
 羽化したと思って、ふたを開けた瞬間に蛹とご対面となった。故意に蛹室を壊さずに観察できる状態になってLucky。

蛹室の大きさは上の緑色の線と同じぐらい。蛹の大きさはこちらの方がかなり大きい。成虫になって、100mmをどのくらい超えるか楽しみである。

羽化不全になりませんように。
ぬか喜びということはありませんように。
・この写真は、縦型容器で育てたギラファノコギリ♂の蛹。
幼虫の様子を見ようと思って掘り出したところ前蛹になっていた。
取り出すときに乱暴に扱ってしまい衝撃を与えてしまった。
これも横型容器ならばあり得ない失敗だった。
簡易的に人口蛹室を作り、置いておいたら、数日後蛹になっていた。
最初から人口蛹室の方がよかったのだろうか。
 胴体は小さくないのだが、大顎は小さい。何故こんなのになってしまったのだろう。
  前蛹のときに動かしたから?
  容器の幅がなかったから?
  湿度、温度、栄養の3要素のせいか?
この個体は、結局羽化不全になってしまった。前蛹時の衝撃が悪かったのか、蛹室が悪かったのか。前者であろう。

○成虫飼育への応用
・基本的に幼虫飼育のために作ったが、成虫飼育にも使えると思い試してみた。
・右の写真はギラファノコギリ♂94mm。羽化後約2週間。本来ならばまだ蛹室の中で休んでいるはずの個体。
この日は、何故か警戒態勢をとらなかった。
・成虫の場合、ボトルのキャップをしっかり閉めておかないと逃げるので、注ぎ口を空気穴にすることはできない。
・♂も♀も注ぎ口に頭をつっこむのが好きで、そのまま出られなくなるか心配なところもあるが、大丈夫のようである。
・ふたは、片方をセロテープで固定し、輪ゴムで留めておけば、♂は逃げることもなく、元気に過ごしているが、パラワンオオヒラタの♀だけはすぐに脱走してしまう。
・羽化後4ヶ月。♀との同居が2週間続いている。ペットボトルという狭い空間で♀殺しの驚異もあったが、実験。
・メイトガードをしている様子を何度か見ているので、交尾は完了しているであろう。この場所では、交尾に至るのは無理だろうが。

7.余談
○鉄缶(乳児用のミルク缶)での飼育


4月5日撮影
・珍しい♀の羽化不全。鉄の缶が原因という可能性もあるが、確実にそうとは限らない。
但し、わざわざ鉄の缶を使うより、ペットボトル横型容器が僕の飼育スタイルには合っている。もう、ミルク缶で飼育することはない。

4月2日撮影 上の羽化不全個体とは別のもの
・セアカフタマタ♀2匹をミルク缶で飼育していた。
・1匹が成虫になったようだったので、掘り出した。
その時、前蛹の時点で蛹室を壊してしまったが、無事蛹になることはできた。羽化もしっかり成功することができた。