患者を出来るだけ短期間で回復させるための典型的な治療手順を設定・説明してもらいます。
先ずは最も安全、簡便かつ費用対効果に優れた治療から開始します。
運動の改善がみられない場合、直ちに3回連続の交感神経ブロックを
患者に行うことが、必須となります。
交感神経ブロックを行う目的は、治療すること,交感神経の関与する
持続痛であるか否かの診断,および予後に関する情報の提供の3つです。
交感神経ブロックの結果は、交感神経の切除あるいはその他同様の治療法が
次のステップとして適切かどうかを判断する指標となります。
医師が予定通り一連の治療(例:3〜6回にわたる交感神経ブロック‥)を行った後、
患者が治療にどう反応したかを記録する更新リポートを作成すると
役に立つのではないかと言われています。
このレポートには今後の治療の基礎と、
将来どのようなリハビリテーションが必要になるかが示されるべきです。
このレポートを患者と共有することで、関係者全員が
診療に関する情報を常に把握することが出来ます。
また、患者と医師が手を携えて治療のゴールを目指す手助けとなります。
【 レポートに示されるべき項目 】
1.処置法(例:神経ブロック)
2.薬物療法
3.理学/作業療法
4.心理社会的な問題点
5.新規の臨床検査あるいは相談
精神疾患や人格障害は “CRPS” の原因にはなりませんが患者の心理面が
この疾患に深く関わってくることは充分にあり得ます。
進行期にある重度の “CRPS” 患者には、一連の交感神経ブロックを行っている時、
あるいは、より侵襲的な治療を提案する前に
しばしば、心理社会的な診断が行われます。
場合によっては正式な心理社会的診察を、一連の治療のかなり初期から開始します。
特に小児の “CRPS” 患者においては、最適なリハビリテーションのための
家族の支援体制や家族に求められる対処機構を決めるために十分な心理社会的評価が必要となります。
心理社会的診断は常に慢性疼痛の専門家が行うべきです。
それには痛みへの対処方法や薬物乱用の可能性に関する判断が含まれるべきです。
ストレスは、この疾患において既知の悪化因子の一つであることが良く知られており、
早急に対処する必要があります。
自殺する可能性は判断されなければなりません。
このような患者には、外来あるいは入院患者として正式な疼痛プログラムに参加する必要があります。
心理社会的診断が必要と言われた慢性疼痛患者は、身構える傾向があります。
そのような患者には自らの痛みへの対処法を改善するように、
適切に動機づけられなければなりません。
そうでなければ、このような心理社会的療法の活用は時間の無駄になってしまいます。
リラクゼーション(例:呼吸運動)やバイオフィードバック,自己催眠などは
患者によっては適切な治療法となると思われます。
◆ 連薬続的な物療法 ◆
治療法は一つずつ順序立てて行うことが重要です。
複数の治療法をショットガン的に同時に実施すると、
個々の治療法の安全性や効果についての評価と最適化が出来なくなってしまいます。
患者は、薬剤の最適用量が患者毎により非常に異なることを知らなければなりません。
そのため、最適な用量を決定するためには、
通常、薬剤の投与量を副作用があらわれるところまで徐々に増やしていくことが必要になります。
その後に、用量は一段階落とされます。
従って、投与前に患者自身が起こり得る全ての副作用を熟知しておくことが重要となります。
また、患者に最も適した薬剤を決定するためには、
多くの異なる薬物を順番に試すことが、必要になることもあります。
薬剤は一般に、次のような痛みの特徴に従って処方されることが多いようです。
▲ 持続痛 ▼
▲ 睡眠障害をもたらす疼痛 ▼
▲ 炎症性疼痛あるいは最近生じた組織損傷による痛み ▼
▲ 自発性発作痛(発作性のしびれ感と電撃痛)▼
▲ 交感神経依存性疼痛(SMP)▼
▲ 筋痙攣 ▼
『 慢性疼痛の治療に用いられる薬剤 』
「 オフ‐ラベル 」 処方 とは、認可された用法以外の目的で、医師がその薬剤を用いることです。
例えば、アスピリンは痛みに処方されますが、血小板凝集抑制作用により
心不全の危険性を減らすためにも使われます。
「 オフ‐ラベル 」 処方 は様々な慢性疼痛の問題を治療する上で、一般的な方法です。
こうした薬物の幾つかについては、神経損傷によって惹き起こされる
疼痛(神経因性疼痛)の軽減に有効であることが
適切に管理された臨床試験によって証明されています。
“CRPS” は神経損傷が原因だと考えられているため(神経因性疼痛)、
これらの薬剤がこの疾患の治療にも同様に用いられています。
患者は、自分自身のためにその薬剤処方が
本当に症状の軽減に役立っているかを決める目的で、
担当医師と相談の上でこうした様々な薬剤の服用を定期的に減量することを考慮すべきです。
いくつかの薬剤(例:麻薬,バクロフェン)については、
禁断症状の危険があるので、減量する時はゆっくり行う必要があります。
痛みの種類別 “CRPS” 治療に通常用いられる薬剤
★ 炎症性持続痛 ★
● 非ステロイド系抗炎症薬 ●
アスピリン・イブプロフェン・ナプロキセン・インドメタシン ・・・
★ 非炎症性持続痛 ★
● 典型的な機序を介さず中枢神経系に作用する薬剤 ●
トラマドール ・・・
★ 持続痛,あるいは自発性(発作性)疼痛と睡眠障害 ★
● 抗うつ薬 ●
アミトリプチリン・ドキセピン・ノリトリプチリン・トラドゾン ・・・
● 経口リドカイン ●
メキシレチン ・・・
★ 自発性(発作性)疼痛 ★
● 抗痙攣薬 ●
カルバマゼピン・ギャバベンチン ・・・
(※ギャバベンチン※ 持続痛を同様に緩和する場合があります)
★ 広範かつ重度の “CRPS” の痛みで低侵襲性療法に反応しないもの ★
● 経口オピオイド ●
“CRPS” 治療のための・・・
〜 オ ピ オ イ ド 〜
『 モルヒネ,コデイン,コンチン 』といった名称の麻薬
オピオイドの使用は議論され、患者を危険にさらす可能性があります。
その為、適切なインフォームドコンセントが確実になされるよう、
患者が医師との「 契 約 書 」に署名することが望ましいと思われます。
患者は即効かつ十分な疼痛の軽減を求めます。
初診時から、適切な治療を施して疼痛が軽減するまで、時間を要する場合があります。
恐らく、疼痛と変性のサイクルが進行するのではないでしょうか。
重度の疼痛に麻薬を用いても乱用の可能性は少ないので、
患者がこの薬剤により痛みの軽減を示す場合、医師はその使用を躊躇すべきではありません。
★ 交感神経依存性疼痛(SMP) ★
クロニジンパッチ
研究によると、交感神経系の抑制により “CRPS” の痛みを軽減する可能性があります。
★ 治療困難な筋痙攣(攣縮・ジストニア) ★
クロノピン(クロナゼパム)・バクロフェン
★ 神経損傷に伴う局在性の痛み ★
カプサイシンクリーム
皮膚に塗布するとトウガラシ様の作用を呈します。
効果はまだ、確定していません。
◆ 理学および作業療法 ◆
患者は、日常生活での活動における患部の扱い方について
指導を受ける必要があります。
例えば、下肢の “CRPS” であれば、
体重を掛ける事と掛けない事の訓練を受ける必要があります。
筋(筋筋膜)痛や痙攣には、通常水治療法が医学的に必要とされます。
指圧(マッサージ)や湿性温熱療法は時として重度の筋痙攣を軽減する事があります。
理学療法士より、経皮的電気刺激装置(皮膚面を刺激する非侵襲的電気器具)の使い方を
教えてもらうことも可能です。
プール療法は可動性の改善に大変有効な治療法となりうります。
◆ 交感神経ブロック ◆
《 交感神経ブロックが “CRPS” の治療を促進させると考えられる理由は3つあります 》
第一,交感神経ブロックが “CRPS” を恒久的または部分的に治癒させ得ることが挙げられます。
第二,交感神経系を選択的にブロックすることにより、患者(及び医師)が、痛みの原因についてさらなる診断情報を
得ることが出来ます。交感神経ブロックは、患者の痛みのどの部分が交感神経系の失調に起因するのかを
決定するのに有用です。
第三,交感神経ブロックに対する患者の反応が、その他の治療法の予後にどのようなメリットがありうるかについての、
情報を与えることが出来ることなどです。
交感神経ブロックに “CRPS” を抑える効果があるかもしれないという
点については根拠があります。
過去の研究において、 “CRPS” 既往歴のある患者に交感神経ブロックを予防的に行うと、
罹患した四肢の再手術後の “CRPS” 再発率が
72%から10%に減少したという結果が示されています。
もし、交感神経ブロックが適切に実施されず評価されないとすれば、
費やされる時間と費用は無駄になり、
診断−予後に関する情報は損なわれます。
適切な交感神経ブロックでは、しびれや脱力の増加を伴わず、四肢の温度が上昇するはずです。
患者は暖かさを感じる事で、交感神経ブロックを受けたことを実感します。
もしブロックによりしびれや脱力が生じたなら、
それは交感神経以外もブロックされたということであり、
患者は交感神経系が関与した痛みを過剰評価することになります。
つまり、神経ブロックの診断と評価と予後に対する価値が失われてしまいます。
疼痛軽減や可動域・運動の改善の程度は、
患者によって報告され、医師によって記録されるものです。
患者の交感神経ブロックへの反応に関するこの情報は、
一連の交感神経ブロックに続いて行われるリハビリテーションの予後を示すものとして有用で、
患者に永久的ブロック(交感神経切除による神経破壊)が適切かどうか判断するのに役立ちます。
この情報はまた、将来処方する薬剤をより合理的に決定するのに役立ちます。
患者の中には、交感神経ブロックの「積み重ねの効果」を経験する人もいます。
即ち、交感神経ブロックを連続的に行うと、一度の処置ごとに更なる痛みの軽減と運動の改善がみられます。
通常、3〜6回の交感神経ブロックを行った後に最も持続的な改善が明示されています。
たとえ今、罹患部が交感神経ブロックに無反応であったとしても、
将来同じ罹患部や異なる罹患部で “CRPS” 症状が悪化した際、
1 〜 3回の交感神経ブロックに反応する可能性があります。
ゴールは常に疾患を治療することであり、過剰な治療をしてはならない!!
交感神経ブロックは大抵、麻酔の訓練を受けた痛みの専門家によって行われます。
熟練した麻酔医の手によって、患者の不快感を最小限抑えつつ、
静注鎮痛剤と併用あるいは単独で神経ブロックが行われます。
交感神経ブロックにおける合併症は極めて稀です。
しかし、局所麻酔薬を不注意に血管内や髄液内に注入してしまうことは、
常に起こり得ることであります。
このような場合は、一時的に力が入らなくなったり意識を失うことがあります。
安全性の面から、交感神経ブロックは常に、
生命徴候(血圧と呼吸)を詳細に監視できる状況下で行うべきです。
患者は交感神経ブロックを行う6時間前から食事を摂らないようにします。
上肢への交感神経ブロックは星状神経節ブロック(SGB)と呼ばれています。
SGBは気管側面に沿って細い注射針を挿入して行います。
患者は、局所麻酔が声帯を部分的に麻痺させるため、
ブロック後に一時的に声の調子が変化する可能性があることを説明されます。
また、ブロック後に飲食する場合には一口ずつゆっくりと摂るように指導されます。
稀に声帯周辺のしびれのため、飲食した際に咳が出ることがあります。
また、患者は恐らく、SGBによる一時的な眼瞼下垂(ホルネルサイン)に気付くかもしれません。
下肢の交感神経ブロックは、腰部交感神経ブロック(LSB)と呼ばれます。
患者の快適性と安全性のために、LSBは透視装置(X線)を用いて行われるべきです。
軽い筋痙攣によって患部の筋肉内に、筋トリガーポイントと呼ばれる
圧痛点の出来る場合があります(筋筋膜疼痛症候群)。
“CRPS” 患者の広い範囲の痛みは交感神経ブロックによって有意に軽減するかもしれませんが、
筋トリガーポイントにおける痛みは持続する場合があります。
痛みの更なる軽減の為に、交感神経ブロック後のトリガーポイント注射や
理学療法の適用が必要になることがあります。
◆ 交感神経切除術 ◆
交感神経ブロック後に痛みが有意に減少した場合、
その患者は交感神経依存性疼痛=SMPだと言われています。
もし痛みが有意に減少しない場合、その患者は交感神経非依存性疼痛=SIPであるはずです。
SMPの患者に限り、交感神経切除術が検討されます。
患者には、永続的なブロック、即ち交感神経切除術による痛みの軽減を、
SGBあるいはLSBを受けた時以上に、期待しないよう告げられます。
従って患者は、各々の交感神経ブロック後の痛み軽減と機能改善の程度をよく確かめなければなりません。
交感神経切除術は、合併症の可能性がある比較的侵襲的な方法であり、
一連のSGBあるいはLSBによる一時的な治療効果が
確かに見られた患者に限り実施されるべき治療です。
上肢の交感神経切除のための内視鏡交感神経切除術が、開発されました。
この手術は全身麻酔下で患者の胸壁側部に、一時的に3個の小さな穴をあけて行います。
下肢の場合は、局所麻酔下に注射針でフェノールを注入し
交感神経を溶かす(破壊する)方法(経皮的交換神経フェノールブロック)、
あるいは全身麻酔下で外科的に切除する方法のいずれかを選択出来ます。
またその他の切除技術も用いられています。
患者は、それぞれの手術法の長所と短所について医師に良く説明してもらう!!
交感神経切除後の痛み(神経痛)は、あらゆる種類の交感神経切除術で起こり得る合併症です。
交感神経切除後の痛みは、通常、最初に痛みがあった部分の近位側に生じます。
(例:「近位側」とは、下肢の交感神経切除後の痛みは、
まず鼠径部か臀部領域で生じ、上肢の場合は、胸壁領域から始まることを意味しています)。
患者は、交感神経切除後の痛みが、最初の “CRPS” の痛みと似ているために、
“CRPS” が新たな部分に広がったと考えるかもしれませんが、
交感神経切除後の痛みは大抵自然に、あるいは1〜3回の交感神経ブロックによって消失します。
従って患者によっては、交感神経切除は交感神経破壊の実施後に
交感神経ブロックを行うという、2段階の処置になる場合もあります。
今までに、その適合性が充分に検討された “CRPS” 患者において、
交感神経切除術は “CRPS” の最も効果的な治療法の、一つであることが示唆されています。
交感神経切除における選択基準は、長期間に亘る診療の成功を達成する上で重要なことです。
◆ プラセボ ◆
“CRPS” 治療においては、
プラセボ効果(糖剤等の不活性な治療により痛みが減少する)を
考慮しなければなりません。
プラセボに反応する人の割合は、
文献やテキストで一般に33%という数字で示されていますが、
「割合」は厳密には、状況次第で大きく変わる(0%付近から100%まで)ものなので、
この数字は誤った認識です。
医師と患者はプラセボ効果について理解しておかねばなりません。
さもなければ患者は過度の治療を受けるリスクにさらされます。
プラセボと特定の疼痛緩和治療を比較認識することは難しいかもしれませんが、
区別するための特徴がいくつかあります。
§ 治療方法の侵襲性が増せば増すほど、プラセボの効果は高まります §
§ 痛み軽減の期待が高まれば高まるほど、プラセボの効果は高まります §
§ プラセボには持続時間がより短い傾向があります §
例えば、それぞれの交感神経ブロック後の痛みを数時間や数日間観察していると、
生理食塩水(プラセボ)注射の場合は、
初めの数時間で鎮痛効果が減弱するのに対し、局所麻酔剤を注射すると、鎮痛効果は数日間持続します。
『 プラセボは連続的に投与した際、比較的再現性に乏しい 』
従って、単に神経ブロックが効果的な治療法であるかどうか決定するために、
各患者に一連の複数回の交感神経ブロックを短い間隔で行うことは、価値の高い方法であるといえます
疼痛軽減効果や機能改善の経時的観察は、患者によって綿密に行なわれなければなりません。
交感神経ブロックによる実際の局所「麻酔」効果は、ほんの数時間しか続きません。
しかしSMPの患者は大抵、局所麻酔剤の持続時間よりはるかに長い間、痛みの軽減を経験しています。
こうした、神経ブロックの持続時間を超える痛み軽減時間の延長や可動性の改善は、
筋攣縮あるいは交感神経の過剰活動により影響を受けた患部の
「反射」活動や「悪循環」の作用によると考えられています。
故意であろうと、なかろうと患者が交感神経ブロックの効果を正確に報告するとは限りません。
既述のように、適切な交感神経ブロックは温感を与え、これが「手掛かり」となります。
患者の中には、結果を期待したり、純粋に痛みが軽減したと述べることによって
そういった感覚の変化を感じる人もいます。
別のある患者は、こうした報告が今後の治療や配慮、あるいはその他の求めに応じてもらうために必要だと信じて、
痛みの軽減について虚偽の報告をするかもしれません。
たとえ効果のない治療でも、全く治療しないよりも良いと感じている患者もいるようです。
◆ その他の交感神経ブロック ◆
交感神経ブロック剤(αアドレナリン拮抗剤)であるフェントラミンの静脈内投与は、
SMPの臨床診断法として推奨されてきました。
しかしながら、偽陰性の試験が43%もあることが報告されています。
さらにこの方法はやや複雑で熟練した専門医による時間と費用を要します。
フェントラミン試験は診断的な手法ですが、交感神経ブロックは診断的,
予後的かつ治療的な手法でもあります。しかしながら、
フェントラミン試験は交感神経ブロックが不可能な場合または
多肢が罹患している場合の重要な治療の一つであります。
硬膜外ブロックは交感神経系への選択性が低く、
そのため、診断や予後の推測を目的とする場合、有用ではありません。
硬膜外カテーテルを用いた局所麻酔薬の注入は
下肢に一時的な筋力低下をもたらす場合があり、歩行に危険が生じる。
“CRPS” 治療のために長期間カテーテルを留置することは実際によくあることです。
これは恐らく、麻酔科医が選択的な
交感神経ブロック術よりも硬膜外カテーテル術に精通しているためです。
硬膜外カテーテルによる長期の治療は費用がかさむ上、かなり稀ではありますが、
患者は『感染(硬膜外膿瘍)などの生命危機の恐れがある、合併症を併発する危険にさらされることがあります。』
硬膜外薬剤を連続注入する上で臨床的に最も適切な用量を決定するためには、
しばしば短期に入院(2〜5日間)が必要になります。
硬膜外カテーテルが外れてしまうことも比較的よく起こる問題です。
腰部交感神経カテーテルを使用すれば、
硬膜外カテーテルに比べてより選択的な交感神経ブロックが可能ですが、
腰部交感神経カテーテルは運動中に外れ易いようです
“CRPS” の治療に硬膜外および交感神経カテーテルの使用が適切な場合もあり、
医師は患者に応じてこの技術を使い分けなければなりません。
交感神経ブロックを実施する際に使われるその他の手技としては、
四肢への交感神経ブロック剤(グアネチジン,ブレチリウム,クロニジンなど)の局所静脈内投与法があり、
四肢を止血帯で縛ることにより薬剤の全身への広がりを制限します。
この方法では、疼痛が生じている四肢への静脈内注射が必要ですが、
四肢の激しい腫脹(浮腫)のため技術的に極めて難しいかもしれません。
患者は、四肢の温感という「手掛かり」を感じないことがあるため、
交感神経ブロックを実際に受けたことを確認できない場合があります。
さらに、 “CRPS” の診断や治療法として、
この処置が、通常の交感神経ブロックより有効だという根拠はありません。
『交感神経遮断作用のある薬剤を用いる局所静脈内ブロック法は、抗凝固剤を内服していて
SGBやLSBにより危険な出血が起こりかねない患者に対して考慮すべき方法であります』
◆ 脊髄刺激 ◆
“CRPS” によって難治性の慢性疼痛が生じた患者に
有効な場合のある疼痛管理法に脊髄刺激(SCS)があります。
脊髄刺激では脊髄(脊柱)におけるある種の神経線維を刺激するために
弱い電気インパルスを用いり、この刺激が脳へ伝わる痛みの伝達を遮断すると考えられています。
脊髄刺激は強い痛みの部位を、より快適なチクチクした感覚に置き換えます。
このチクチクする感覚は比較的一定で、苦痛を与えるものではありません。
脊髄刺激が交感神経系を遮断して患肢の血流量を増加させる場合があることについては、
幾つかの実験的な根拠があります。
恒久的な電極の埋め込みの前に、仮の電極による試験が先ず実施されます。
脊髄刺激が比較的侵襲的で費用のかかる手技であり、 “CRPS” 患者がしばしば悲観的で
挫折感を持っていることを考えると、疼痛管理の問題に関する心理社会的評価を十分行う必要があります。
「 稀にではありますが、脊髄感染や麻痺が合併症として起こりうります。」
細い針の中に電極を通す技術によって、この方法の危険性が減り、仮の電極による試験が容易になりました。
脊髄刺激による “CRPS” 患者の治療は、通常とは異なる臨床的かつ技術的な問題をもたらします。
“CRPS” は脊髄刺激の技術的な見地からすると予想不可能な疾患であります。
脊髄刺激を最も疼痛の激しい場所で実施する必要性は常に留意されなければなりませんが、
“CRPS” では最も痛い部分が移動する場合があるので、より困難であります。
さらに、 “CRPS” に由来する痛みは体の異なる部分へ広がる場合があるので、
考え得る最大の領域をカバーするような複数の電極で
連続刺激が可能な埋め込み型刺激装置が必要になります。
ゆえに、 “CRPS” が一側の手、または足に限定されていても、
痛みの広がる可能性のある領域に刺激を拡大することが賢明です。
脊髄刺激のリスクと高額な費用により、この治療は重度の障害を負った患者に限定して使われています。
最近の無作為化比較臨床試験では、慎重な患者選択と試験刺激の成功が伴えば、
脊髄刺激は安全で、疼痛を軽減させ、
更に重症の “CRPS” 患者における健康面でのQOLを、高めることが示されました。
『 脊髄刺激における体外電池システムと体内電池システムの比較 』
脊髄刺激に関して内容を理解した上での選択をするために、
患者と医師は体内電池システムと体外電池システムの本質的な違いをよく考え話し合い決定すべきです。
◆ モルヒネポンプ ◆
モルヒネの脊髄液への単回投与(くも膜下腔内)が
脊髄での選択的な除痛効果をもたらすことは良く知られています。
この脊髄への効果は、モルヒネを経口投与されたとき(たとえば鎮痛)に起こる
多くの重篤な副作用から患者を救いました。
この発見から間もなく、非癌性の慢性痛治療のための
永久的な埋め込み式モルヒネポンプの開発に情熱が注がれ、
特にメディケアが、そのような外科的な手法に保険の適応を認めてから一層盛んになりました。
「モルヒネポンプの埋め込みは比較的侵襲的で、高価な処置様式」でもあります。
二十年近いテストにもかかわらず、モルヒネポンプの長期使用が
“CRPS” を含む多くの慢性疼痛症候群の治療において
モルヒネの経口投与よりも優位だという科学的根拠は出されていません。
事実、モルヒネポンプを埋め込んだ多くの患者は、同時にモルヒネを経口で服用しています。
薬剤耐性の亢進,吐き気,便秘,体重増加,性欲(性衝動)の減退,足のむくみ(浮腫),多汗 などの、
モルヒネを経口投与した場合に時々見られる副作用と同じものが、
モルヒネポンプでも見られます。
加えて、ポンプの不調(カテーテルの外れ)が重大な問題になり得ます。
最近では、慎重な患者選択を条件として、
バクロフェン脊髄注入のためのポンプの埋め込み術 は、
重症の “CRPS” 患者のジストニアとよばれるある種の筋痙攣の治療に有効な手法です。
しかし、四肢に力が入り難くなるなどの副作用もあるため、
患者はリスクを理解したうえで埋め込術を行うかどうか選択するべきです。
◆ その他 ◆
『 硬膜外内視鏡(エピドラスコピー)〜硬膜外洗浄癒着剥離術〜 』
難治性腰下肢痛の新しい治療法で1995年に開発された治療法です。
神経ブロックに抗性のある腰下肢痛に対し行われます。
直径2_の硬膜外内視鏡(エピドラスコピー)を硬膜外腔 ━ 仙骨裂孔から挿入し、
腰痛の原因を特定し、エピドラスコピーを用いて直視化に、
痛みの原因と考えられる癒着部位の剥離を行います。
硬膜外腔に生理食塩水を注入することによって炎症物質を洗い流し、
炎症部位に局所麻酔薬やステロイド薬を投与します。
◎ 適 応 ◎
◇ 難治性の腰痛 ◇
◇ 心因性疼痛ではない ◇
◇ 患者の同意がある ◇
◇ 腰下肢痛の原因が神経根症 ◇
◇ 腰仙骨部硬膜外腔に癒着所見がある ◇
◇ 各種神経ブロックにより期待した効果が得られなかった場合 ◇
◇ 各種薬物療法で効果を得る事ができなかった場合 ◇
『 高周波熱凝固法 Radiofrequency thermocoagulation 』
高周波 ━ ラジオ波で加熱することによって、
興奮伝導を遮断し、ブロック針の先端(4_)のみが電気的に加熱できるようになっています。
その針を神経に隣接させて、位置が決まったら加熱します。
温度と凝固時間の設定によって、破壊の範囲と程度が決まり、
さらに痛みを伝達する無髄の神経線維をより選択的に遮断し、
触覚などを残すことがある程度可能です。(42〜90度で15〜180秒の間で加熱できます。)
高周波の電流を間欠的(パルス法)に神経に流して、
神経を刺激しながら痛みを軽くする方法も開発されました。
『 高圧酸素治療 』
レオロジー効果
装置内では、100%均等に酸素を浴びるため、細胞レベルから身体全体の歪み等を矯正します。
これにより体液、神経など傷付いた部分が改善されます。
高圧酸素装置
0.01ミクロンにまで洗浄された、大気中の空気カプセルに送り込んで加圧します。
純酸素を使用すると酸素中毒や引火の恐れがありますが、
通常の空気を圧縮して使用します。
◆ 効 果 ◆
[ 酸素の種類 ]
体内の酸素には2種類あり、呼吸により取り込まれた酸素は血液中の赤血球の中のヘモグロビンに結合して、
抹消の組織に運ばれますが、毛細血管はヘモグロビンより細いため、
一上の酸素を定量以取り込むことが出来ません、
これを『 結合型酸素 』と言います。
一方『 溶解型酸素 』はわずかな量ですが、コーラのような炭酸飲料のように、
液体に酸素分子が溶け込んでいるものです、
酸素が血液中に溶け込み、毛細血管や通常ではなかなか入り込めない
血液やリンパ液にも入り込めるのです。
[ ヘンリーの法則 ]
『 液体に溶解する気体の量は、気圧の高さに比例して増える 』
この原理を利用して、
気圧を高め溶解型酸素の量を増やして、
身体中の酸素不足の各組織や細胞に酸素を供給する事により、
細胞を活性化させ身体機能の向上、疲労物質の除去機能回復等を促進させます。
これはただ酸素を吸う、酸素吸入では不可能です、
高気圧ではじめて溶解型酸素を増やす事が出来るのです。
◆ 人工チューブによる神経再生 ◆

事故などで切断・損傷した患者の末梢(まっしょう)神経が、
このチューブにより再生してつながり、手足の知覚や機能がよみがえっています。
最近はさらに、『 外傷や手術の際に傷つけられた神経によって起こる
激烈な痛みの治療にも効果 』があることが分かってきました。
開発以来、太さがミリ単位の同チューブによる神経再生手術を120例以上手掛け、
顕微鏡手術の技術を駆使して患部で伸びた余分な神経を除いたり、
血管を再建して「場」を整え、チューブを植え込みます。
末梢神経が事故や手術で切断・切除された場合、
体のほかの場所から神経を取って移植することが行われてきましたが、
長さや太さがうまく合わず、つながっても機能しないことも多くありました。
ところが、そこに人工チューブを埋め込むと、
切れていた神経が周囲の組織に邪魔されずにチューブ内を伸び始め、再びつながるのです。
稲田病院への連絡
FAX:0742(24)0645,Mail:yuji-829@ja2.so-net.ne.jp