vol.8 | 2007年9月15日 土曜日 更新 | 今日の天気

異空間体験記

sample show room "the sample" 栗本百合子展

林治徳《sign language》アーティストの栗本百合子さんは、空間をつくる仕事をしている。そう言うと建築的な作品を想像しがちだが、栗本さんの場合は、元の建物―それは長年使われていなかった倉庫や明治時代に建築された国立博物館だったりする―の一部に手を加えることによって、見慣れた場所を非日常的な空間に変換させる。

例えば、2006年春に春日井フォーラムで開催された「居心地のよい場所」展では、そこにあるはずのない階段や人が一人収まるくらいの窪みをロビーにつくったり、階段の踊り場の窓に水色やグリーンの柔らかな布を張ったりした。変化そのものはささやかなのだが、変化に気づいて通り過ぎた通路や階段を改めて見てみると、見慣れた風景がまったく新しいもの見えたのを記憶している。

そんな栗本さんが昨年12月から取り組んできた「異空間/栗本百合子プロジェクト」の新作インスタレーション《sample show room》が公開となり、早速現地を訪れた。

現地は製陶会社が所有する建物で、中に1万点を超える商品見本を保管したまま、約30年間放置されていたもの。栗本さんは2年前に知人からこの建物のことを紹介され、ずっと興味をもっていたという。そして昨年秋から掃除などを始め、12月から本格的に作業に取り組み始めた。今回は建物の中に膨大な数の商品見本があったことから、サンプルショールームにしようと当初から決めていたという栗本さん。そのため天井の張り替えや約1万点のサンプルを展示するための棚の製作、さらにサンプルのほこりを払い棚に並べていく作業が、これまでになくたいへんだったという。

sample show room その甲斐あって、整然と並べられた色とりどりの磁器はそれだけでも美しく、見ていて楽しい。棚や壁は当時の状態を再現する程度に、くすんだピンクとブルーで控えめに塗装されているが、並べられた磁器の色彩や絵柄が絵の具や塗料の代わりとなって、これまでにないカラフルな空間となっている。展示は9月24日までだが、会期終了後も当面はこのままだそう。あなたもぜひ、瀬戸で異空間体験を!!

愛知製陶所 第3見本室sample show room "the sample" 栗本百合子展

会期:開催中〜2007年9月24日(日)
時間:11:00〜19:00(金、土、日、月のみ)
会場:愛知製陶所 第3見本室
   瀬戸市安戸町26

お問い合わせ先:yurik789@jg8.so-net.ne.jp
栗本百合子 ホームページ http://kurimotoy.nobody.jp/
異空間/栗本百合子プロジェクト http://kurimotoproject.blog.shinobi.jp/