ジャガイモ品種「コナフブキ」(農林26号)(KONAFUBUKI)

(1)来 歴
昭和46年北農試で「トヨシロ」を母、高澱粉の「WB66201-10」を父として交配して得た3万粒の真正種子を翌昭和47年道立根釧農試(現在道立北見農業試験場馬鈴しょ科)が分譲をうけて、その年実生を養成し、比重による強選抜、疫病無防除栽培から始まる諸実用形質の選抜を重ねて育成し、昭和56年(1981)北海道の奨励品種としたものです。(『種苗法』に基づく新品種としての登録番号は338。登録日昭和58年2月24日。品種登録者北海道)
Yモザイク病に圃場免疫であり、高澱粉品種の宿命と思われていた塊茎腐敗の心配が無いことなどから、十勝、網走地方を中心に栽培されており、作付面積は平成8年(1996)に当時のでん粉原料用の主力品種「紅丸」を上回り、平成14年(2002)年に北海道では「男爵薯」を抜いてしまいました。現在澱粉生産量では日本一になっております。  名は澱粉が吹雪のように多いことを示したものです。
(『わざわざの客をいたわる粉吹雪』--清水冬眠子:北海道川柳連盟初代会長)
 地方番号は「根育19号」、登録番号は「農林26号」です。
 本品種と「トヨアカリ」をを親に用いた交配からは、「サクラフブキ」が育成されています。

(2)地上部特性
 茎長は「紅丸」並ですが、初期は低く、後期には倒伏するため低く見えます。茎数及び分枝は「紅丸」や「農林1号」程度で、そう性は中、茎の太さは「紅丸」並ないしやや細い。茎色は緑です。茎翼は直です。
出芽時の葉色は緑で、淡い紫の着色があります。萌芽は、「紅丸」に比べやや遅い。初期生育は整一で、開化始は「紅丸」とほぼ同時です。茎葉黄変期、枯凋期は「紅丸」並です。小葉の色は濃緑で、大きさは小さく、葉面績指数は小さい。
 花は極淡い赤紫色で、先が白い。花数は多い。花粉の量がやや多く、自然結果は「エニワ」より多く、自生することがあります。
 疫病抵抗性遺伝子R1R3をもっているので、初発生が遅い。Yウイルス病には畑でかかりません。半身萎凋病(バーテシリウム、8月中旬に急に黄化、枯葉するもので、系統がある)にはやや強い。また、軟腐病には、罹病葉が容易に脱落しやすいためか、強い。
 多肥で徒長することが少なく、耐肥性がある。開花始めに窒素の葉面散布をしている地区がみられる。葉が小さくて厚く、光の利用効率が良い。また、晩霜の被害が少ない。
(3)地下部特性
塊茎の形は偏平な球で、皮色は淡黄褐色、目に極淡い紅色の着色があります。目の深さはやや浅く、目の数は多く、ふく枝着生部(尻)の深さは中くらいです。いもの分布(疎密)は中です。肉色は白です。
いも数は「紅丸」程度ですが、大きさはやや小さい。収量では2割以上劣っています。しかし澱粉価が約5ポイント(約30%)も高いため、澱粉収量では勝っています。
 澱粉及びその糊化時物性を「紅丸」に比べると、大粒が少なく、灰分(りん)が多く、ブレィクダウンが大きく、ゲルの破壊強度の点で劣り、白度、最高粘度、その時の温度の低さの外、製造コストの点では勝っております。インスタント麺類などに適しています。
早掘りしても澱粉価が高い。これまでの高澱粉品種に多かった塊茎腐敗、貯蔵中の腐敗が少ない。打撲による亀裂は少なく、皮下黒斑や凹みが多い。しかし、これらは腐敗ではなく、種として使用可能です。
 風味がよく、コロッケ原料に使えるが、水煮後黒変が多く、ハーベスタの収穫では、「紅丸」より比重が高いため、打撲による皮下黒変が多いので、扱いが難しい。道東の7月下旬から8月初めにかけて試し掘りして食べると澱粉ののりが早いので美味しい。
 そうか病の発生は「紅丸」より少なく、一般品種としては少なめの中、象皮(亀甲)症状は少ない。
 粉状そうか病には「農林1号」並以上の抵抗性があります。しかし炭そ病に似た黒斑病(アルタナリア)には弱いようです。
 ジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性はありません。
 早掘りしたいもの食味舌ざわりはよいが、完熟塊茎では水煮黒変や煮崩れが多く、食用に向がず、澱粉原料用専用品種です。「アスタルテ」に比べ、塊茎肥大や澱粉価の向上が早い。
 焼酎原料としては、風味などから最高とされ、『北の横綱コナフブキ、南の横綱コガネセンガン(サツマイモ)』と言われております。水煮後黒変が多く、極粉質ですが、剥皮褐変が少なく、高澱粉なので、皮つきをそのままおろしたお好み焼きに使われたり、コロッケにも使われています。これらの加工用に使うときは、良風味を維持するため、食用に準じて緑化防止などに努めることが大切です。ニョッキにするときは、皮つきのままゆでて煮崩れを防ぎます。カルビーの「ジャガリコ」に使われたりしています。
(4)栽培上の注意
 根の量が少なく、多肥は根張りを悪くし、肥沃地や泥炭土などでは増収しますが、やせ地や乾きやすいところでは減収する傾向にあるので、土づくりに留意しておくのがよい。肥沃地を好むが、地力の少し劣るところなどで追肥するときは培土直前に行う。
 疫病多発地や塊茎腐敗の多いところでは、他の品種に比べ相対的に良い成績をだしますが、「花標津」(はなしべつ)のような圃場抵抗性はありません。
 萌芽が遅く、初期生育が劣るので、種いもはプランタに使える範囲で催芽しておくとよい。
 「紅丸」に比べ、生育後期の丈が伸びないので、10a当り4,500株以上にしたほうが安全多収が得られやすい(72×30cm程度)。
 種いもは、大きめのものを使い、欠株を防ぎ、生育を良くするようにするのがよく、切口が固くなりやすいので、あまり早くから種いも切りをやっておかないほうがよい。
多肥栽培に茎葉枯凋剤を使うなど、未熟のいもコルク化不足は貯蔵中の腐敗の原因となることがあります。

...

左:「コナフブキ」の極く淡い赤紫色の花。秋たくさんの果実がなります。
右:「コナフブキ」の塊茎。目の部分が上品に着色しているので区別が容易。

「コナフブキ」の参考資料(北海道立農業試験場集報 第48号1982。PDF)
ばれいしょ新品種「コナフブキ」の育成について  浅間和夫、伊藤平一、村上紀夫、伊藤 武
登録品種データベース「コナフブキ」(1983)  浅間和夫、伊藤平一、村上紀夫、伊藤 武、坂口 進、入倉幸雄、梅村芳樹
北海道の本格焼酎(清里町のジャガイモ焼酎)


【コナフブキを使った本格焼酎】
上左:『北緯44度』3年ほど貯蔵熟成したもの。小さなグラスで、水を別に用意してチビチビやるのがおすすめ。飲むときは息をしないで、これを口の中で転がす。
上右:『清里セレクション』吟味した原酒を、5年間貯蔵熟成させたもの。アルコール43度、飲み方は『北緯44度』と同じでよい。
 下左:『きよさと』1979年発売の元祖ジャガイモ焼酎。お湯割り、水割り、ストレート、お燗など、25度。
下中:『浪漫倶楽部』、25度、ライトタイプのジャガイモ焼酎を、さらに4〜5ケ月北米産のホワイトオーク材を使った樽に貯蔵熟成させたもの。液は琥珀色
下右:『オホーツク』原酒に少々お水を加えて35度にした。原酒の味覚を保ったものをロック、瓶ごと冷蔵庫でよく冷やすなどして飲むのがおすすめ。【焼酎の入手: 札幌駅の南地下12番SEIBU入り口から入った西武五番館地下。『浪漫倶楽部』720cc 924円/2002年12月現在】

左から五稜郭の『男爵薯を讃う』、留寿都村の『紅丸発祥の地』、『中標津産業貢献賞』(コナフブキの育成などに)

でん粉がき
 料理と言う代物には属さなく,子供が自分でつくるおやつレベルのもの。そして、「コナフブキ」(ジャガイモ)でん粉の消費拡大につながるので,ここに紹介したい。
開拓期から戦後にかけてよく食べられ,一時消えたかに思ったが,近年北海道農業協同組合連合会(ホクレン)や北海道澱粉工業協会などでマスコミに紹介し,見直されている。

作り方:茶わんに,大さじ山盛り一杯のでん粉(片栗粉)を用意する。同程度の水かぬるま湯を入れ大きめのスプーンでこれを溶く。ここで砂糖を使う場合は一緒に入れ,スプーンでかき混ぜながら熱湯を注ぐ。水かぬるま湯を使わず,直接でん粉にお湯を注ぐと,煮えない(αでん粉化しない)白い粉が残ってしまう。丁寧で多量に作りたいときは,鍋に入れ,弱火で練り上げると粘りが強く出来上がる。
食べ方:きな粉、黒みつ,蜂みつ、砂糖などから選択してかけて食べることが多い。黒みつときな粉では暖かい"くずもち"という感じになり,おやつ向き。ショウガと砂糖ではいっそう体が温まり,風邪ぎみのときに好まれる。冷やしたものをスプーンで一口サイズにして寒天のようにみつまめやフルーツポンチに入れても良い。”でん粉がき”は体内でブドウ糖に変わりやすいので,下痢したときなどに食べました。
 ジャガイモでん粉は,糊化温度が低く、糊は透明となる特徴があるためこんようなことが可能となる。


コナフブキのお好み焼きへ行く(1998.8)
コナフブキ澱粉の特徴へ行く(1999.6)
映画・『大脱走』のジャガイモ焼酎へ行く(1999.6)
遺伝子組み替えとコナフブキへ行く


主に「コナフブキ」澱粉を使っている商品。写真は、北農中央会・ホクレンによる販促パンフより

*品種メニュー*に戻る *スタート画面へ戻る*